その5 「エイ釣り」

エイ釣りには大変な思い出がある。エイ釣りは夜だった。時期は余り記憶にないが(私が高校1年生?の頃)たぶん夏の夜だったと思う。あっちで○○が釣れた、こっちで○○が上がったと聞けばどこにでも釣りに行っていた。エイ釣りも父親の友人から隣町の港の堤防で上がったとの情報が入ってきた時だった。父親もやはり釣り好きだった。釣れるのであれば何でも行く(本当に何でも行った)。その友人と一緒に高校生の私を従え(私も大好きだった)、車で隣町のくだんの堤防に釣りに行くことになった(車で15分位の所)。

仕掛けは一番大きなリール竿にかなり太い道糸を巻き、ハリスはワイヤーだった。針も直径が3センチ位、餌はというと大サバの半身掛けだった。それを力いっぱい遠くへ投げ(余り飛ばないが、30〜40メートル位か)、投げ終わったら近くの船止用の鉄柱にそのリールをしっかりとくくり付けてひたすら待つという、なんともはや、釣りというか何というか、とんでもない釣り?だった。しかし30分位待つとグーンと竿が引き込まれる。くくり付けてあるので急いでそれを解いて、魂身の力を込めて今度はそれを海とは反対の方向へ引いて行くのであった(とても巻けなかった)。しかし最初に上がってきたのはサメだった(大笑い)。気を取り直して再度同じことを繰り返すと、次に上がってきたのが本命のエイだった。ところがこのエイがやたらと大きいのである(本当にマンタのような感じ)。尻尾を切り落とすのも命懸けの様相を呈していた。

さてそのエイを今度は車に乗せるのが一仕事となった。父親はそのころジムニーに乗っていた。ご存じの様にジムニーは小さい。タタミ一畳はあろうかという(本当にそれくらいあった)そのエイを荷台にやっとのことで乗せたのだが、私は後席だったため(3人乗車のため)エイのあのヌメっとした上半身部分がどうしても後席まで占拠しており、私は体を丸めたまま(頭上にエイ)の状態で帰宅したのであった。帰ってからさばいて料理して食べたが、コリコリするだけで余り美味しいという印象はなかった。それからエイ釣りには行かなかった(最初に釣れたサメは解体して大鍋で煮込んだあと、しばらくの間、犬の餌になっていた)。